Google上でお客様と出会う:ナレッジ管理で、最高のCXを提供する方法

検索エンジンで上位に上がることは、もはやマーケティングチームだけの責任ではありません。ほとんどのお客様は、カスタマーサービスに問い合わせる前に、自ら検索して問題を解決しようとします。[i] 企業は、製品やサービス販売後のソリューションジャーニーをスムーズにするために、検索エンジン戦略を進める必要があるのです。

あるトピックをGoogleで検索する時、検索結果の1ページ目に必要な情報が表示されるため、回答を得るためにウェブサイトに行く必要すらないことがよくあります。例えば、「カナダの首都はどこか」を検索してみましょう。検索結果ページをスクロールしていくと、広告ページの下に多くの記事や企業のウェブページが表示されます。しかし、必要な情報は検索結果ページにすでに表示されており、検索結果すべてのページをクリックしていく必要はないでしょう。

お客様は、貴社の製品やサービスのサポートに関連する質問についてもGoogleで検索しています。だからこそ、お客様が迅速に正確な回答を貴社のウェブページから受け取れるように、検索結果ページのトップに情報が表示されるようにする必要があります。

例えばあるソフトウェア会社で、製品に既知のバグがあるとします。お客様がそのバグの回避策を検索したときに、最初に見る回答は自社のウェブサイトか、それとも他のユーザーフォーラムか、どちらが良いでしょうか?

Google上でお客様に対応することで、満足できるセルフサービスをお客様に提供すると同時に、会話の主導権を握ることができます。お客様はより便利なカスタマーエクスペリエンスの恩恵を受けるだけでなく、コンタクトセンターもサービスコストの削減ができますし、エージェントはソフトウェアのバグに関する同じ質問に何度も答える必要がなくなるのです。

検索結果で上位に位置するためには、すべてのナレッジアセット(知識資産)を統合し、検索エンジンがインデックスを作成できるようにする必要があります。それをするために、まずはGoogleについて説明しましょう。

(少しだけ)Googleの説明 - 用語と仕組みの解説

新しい家具の組み立て方や七面鳥の焼き方など、情報が必要なときはほとんどの人はGoogleを利用します。ある推定によると、Googleは世界の検索エンジン市場の約92%を占めており[ii], 毎日何十億もの検索を処理しています。[iii]

Google検索を活用してプロアクティブなセルフサービスを提供したいと考えるカスタマーサービスのリーダーたちは、次の用語とコンセプトを知っておく必要があります。

  • オーガニック検索トラフィックとは、検索エンジンを使って貴社のウェブサイトを見つけ、クリックする人のことを指します。検索エンジンのアルゴリズムは、さまざまな要因やプロセスを通じて、表示するページを「有機的に」決定します。(企業が広告を獲得するために費用を支払う「Pay Per Click(クリック課金)」と呼ばれる検索トラフィックとは異なります。)"
  • 検索アルゴリズムは、検索エンジン上でユーザーの検索ワードに基づいてコンテンツを取得するために使用されます。検索アルゴリズムは、多くの要因(ドメインオーソリティ、コンテンツ構造、キーワードマッチなど)に基づいたルールをもとに、検索結果にどのコンテンツを表示するかを決定しています。
  • 検索ワードは「検索クエリ」とも呼ばれ、人々がコンテンツを探すために検索エンジンにタイプ入力したり、音声入力する言葉です。企業は、特定の検索ワードや検索フレーズに対して上位に表示されるようにコンテンツを最適化することで、このコンテンツを探している人々を集めることができます。
  • 強調スニペットは、ユーザーの質問に素早く答えるためのGoogleの手法で、オーガニック検索結果の上(ただし検索広告の下に表示)にある独自のボックス内に表示される検索結果を指します。強調スニペットを獲得することで、ブランド露出と検索トラフィックを増やすことができます。
  • ナレッジグラフは、Googleの検索結果の横に表示される情報パネルです。AIと機械学習により、Googleは多くの異なるソースからの詳細を照合し、その知識を1つのパネルに表示できるため、ユーザーの検索エクスペリエンスが向上します。
  • 検索エンジン最適化(SEO)は、企業が検索エンジンでウェブプロパティをランク付けするのに役立つ手法のことです。検索エンジンは、定期的に更新される複雑なアルゴリズムを用いるため、SEOのベストプラクティスも常に進化を続けています。
  • ポジションゼロとは、検索結果ページ上で他のどれよりも上位に表示される検索結果のことです。ポジションゼロは人々が検索結果として最初に目にするものの一つであり、オーガニック検索のトラフィックを獲得できる傾向があるため、多くの企業がポジションゼロに位置したいと思っています。
  • インデックス化とは、検索エンジンがウェブ上で収集したコンテンツを、をもとに、検索結果としてランキングするために解析するプロセスを指します。企業は、特定のページを検索エンジンがインデックス化できないようにして検索結果に表示させないこともできます。
  • ブランド検索とは、ブランド名や製品名を使用した検索ワードのことです。
  • コーナーストーンコンテンツとは、すべてのウェブコンテンツの中で最も重要なコンテンツを指します。一般的にこれらのページの特長として、①オーガニック検索のトラフィックが最も多い、②ブランドの特徴と密接に関係している、③カスタマージャーニーの重要な部分と関係している、④または最も重要なケースを生成する課題と関係しているといったことがあげられます。
  • 「アバブ・ザ・フォールド(Above the fold)」とは、ユーザーが画面をスクロールする前に表示されるウェブページコンテンツを指します。例えば、Googleの検索結果ページでは、「アバブ・ザ・フォールド」は通常「ポジションゼロ」、つまり検索結果の上位3位内に表示されるコンテンツを意味します。表示の「境目(フォールド)」は、各デバイスによって異なり、画面解像度、画面サイズ、その他の要因にも左右されます。

Googleは長らく検索エンジンのトップであり続けており、トップにとどまるために検索機能を向上し続けています。検索アルゴリズムを定期的に更新し、AIによる意図認識と組み合わせることで、Googleはテキストのみに基づいてランク付けする単純な検索エンジンを超えて進化しています。現在では、ユーザーが意図していると思われることに基づいてコンテンツを提供し、情報が全て揃う場所になっています。

Googleの発展は、より良いカスタマーエクスペリエンスとスムーズな検索エクスペリエンスを提供したいと望む企業にとって、いくつかの新しい課題を提起しています。企業は、「Googleから最も多くのオーガニック検索トラフィックを獲得するにはどうすればよいか」「サポート関連や販売後もお客様の期待に応えるために、コンテンツを準備し拡張するにはどうすればよいか」といった問いについて検討しなければなりません。

(答えはもうすぐです!)

よくある落とし穴を回避する

会社がしっかりしたSEO戦略を持っていれば、ウェブサイトのコンテンツは、購入者のカスタマージャーニーに合わせて最適化されていることでしょう。SEO戦略は、主に新規顧客の獲得と売上の増加に注力しています。

この戦略は間違ってはいませんが、商品やサービスを購入済みのお客様が手助けを必要とする際にはあまり意味がありません。お客様は、検索結果ページにあるリンクをクリックして、販売目的の製品ページに連れて行かれてしまいます。結果としてセルフサービスの試みは失敗し、カスタマーサービスに電話をかけるという面倒な事態になりかねません。

企業は、Googleのように、お客様の意図に着目してSEO活動を展開する必要があります。お客様がセルフサービスのためにGoogleを使う場合、関連するサポートコンテンツを検索結果ページの最上位に表示される必要があります。より多くのお客様をサポートし、より多くのオーガニックトラフィックを獲得するためには、ページのトップにいることが不可欠です。First Page Sage社の分析によると、「ポジションゼロ」のコンテンツは、ページ下方に表示される結果と比較して、クリックスルー率(CTR)が2倍以上になっています。[iv]

企業がサポートコンテンツをわかりやすく集約していなかったり、検索用に最適化されておらず検索エンジンで利用できない場合、お客様と企業の両方にとって次のようなマイナスのシナリオが生まれます。

1. サポートを必要としている人がイライラするようなカスタマージャーニーを提供している

あまりにも多くのブランドのウェブサイト上で、探しているものを見つけられない人が続出しています。例えば、「Acmeブランドのプレミアムウィジェットの使い方」と検索したお客様が、マーケティングコンテンツでいっぱいのページに連れて行かれても、それは役に立ちません。お客様はウィジェットをもう購入しており、今はサポートを必要としているのです。

このような状況は、企業がサポートコンテンツを公開しておらず、検索エンジンにインデックス化できないようにしている場合に起こる可能性があります。これにより、セルフサービスが苛立ちと失敗に終わり、さらに、お客様サポートの最終手段であるコンタクトセンターへの電話につながる可能性があります。最悪の場合、お客様が製品やサービスを捨て去ってしまい、お客様とのつながりが保てなくなるかもしれません。

2. お客様が他社のコンテンツを見つけてしまう

充実したサポートコンテンツを通じて、ブランドはより多くのオーガニック検索トラフィックを獲得し、お客様は自己解決ができるようになります。お客様がブランド検索ワードを使用する場合、例えば「AcmeブランドのDeluxe Widgetを自転車に取り付けるにはどうすればいい?」と検索すると、検索結果は絞り込まれ、企業のコンテンツがページの上位に表示される可能性が高くなります。

企業がサポート関連のブランド検索を活用するためには、Googleや他の検索エンジンがサポートコンテンツをインデックス化できるようにする必要があります。これにより、お客様は信頼できる情報源(貴社)のサポートを受けることができます。さもなければ、お客様は第三者のサイトにたどり着いてしまい、そこで何を見ることになるかは誰にもわかりません。競合他社は、検索結果ページからお客様を奪っていくことが知られています。

3. サポートコンテンツが見当たらない

どのような検索ワードで顧客がウェブサイトにアクセスしたかを知ることは、重要です。オーガニック検索トラフィックのデータにより、お客様が実際に必要なものを知ることができます。このようなインサイトは、サポートコンテンツのギャップを特定し、コーナーストーンコンテンツを特定するのに役立ちます。

サポートコンテンツが公開されていなければ、お客様が何を求めているのか、また、お客様がどのようなキーワードでそれを探しているのかについてのインサイトは失われます。さらには、お客様は存在しないウェブページを探すために無駄な時間を費やすことになります。

Google検索で勝利するための5つのステップ

検索エンジンのサポートを受けたセルフサービスが、すべての企業の販売後のカスタマーサービス戦略で重要であることは明らかです。しかし、お客様が価値を見出し、瞬時の満足を得る方法としてはしばしば見過ごされがちです。サポートコンテンツの検索結果表示を実現または改善したい企業は、次のステップを踏む必要があります。

1. セルフサービスの一環としてGoogleを取り入れる

一部のカスタマーサービスのリーダーにとって、検索エンジンをセルフサービスの方法として取り入れることは、大きな決断になることでしょう。コンタクトセンターは完全に内部的なものであるため、セルフサービスソリューションの管理方法として企業も慣れています。検索エンジンは、コンタクトセンターの範囲を超えているように見えるかもしれません。さらに、マーケティングチームは、SEOはもう販売のためだけではないという考えに同意する必要があります。また、Googleを受け入れるには、Googleがユーザーの意図を重視していることを理解し、その概念をコンテンツアプローチに取り入れることが必要です。

2. サポートと製品に関するすべてのコンテンツを統合する

多くの企業がすでに多くの製品やサポートに関連するコンテンツを持っていますが、それらは社内のナレッジベースやその他のドキュメントリポジトリに分散している可能性があります。このようなコンテンツを一般公開する予定があれば、信頼できる唯一の情報源を作成するために統合する必要があります。

3. 検索エンジンが容易にインデックス化できるように、コンテンツを組み立てる

コンテンツや文書が社内のユーザーに十分役立っているからといって、一般ユーザーや検索エンジンにそれらを提供する準備ができているわけではありません。検索エンジンがコンテンツをインデックス化してランク付けする際は、そのコンテンツがどのような質問に答えているか、人々は何のためにそれを使うのか(すなわち意図)、といった要素を見ています。そのため、サポートコンテンツは、適切なキーワードを含むように手直しする必要があるかもしれません。さらに、ユーザーにコンテンツへのリンクをクリックしてもらうためには、検索結果ページ上で分かりにくい専門用語の羅列ではなく、わかりやすい文章を見てもらう必要があります。

4. 複数チャネルを通じたサポート体験の創造

サポートコンテンツを統合して改善したら、コンタクトセンターは、それをすべてのチャネルが使用する、信頼できる唯一の情報源にすることを検討すべきです。お客様は、あるチャネルで解決に向けたカスタマージャーニーを開始し、別のチャネルで解決することがよくあります。サポートコンテンツへのアクセスをエージェントやIVR、チャットボットなどのセルフサービスソリューションに拡大することで、お客様が使用するすべてのチャネルで一貫した情報を受け取ることができるようになります。

5. サポートコンテンツの公開

最後のステップは、検索エンジンがインデックスを作成し、お客様がアクセスできるように、サポートコンテンツを公開することです。このとき、何を公開し、何を非公開とするかは、企業側で管理することができます。お客様の意図を考慮し、SEOのためにコンテンツを最適化すれば、企業のサポートコンテンツはGoogle上で、うまくいけば「アバブ・ザ・フォールド」の位置か、もしくは強調スニペットでの掲載など上位表示されることでしょう。

サポートコンテンツを公開することで成果を上げた企業の例

ヨーロッパのある大手自動車メーカーは、サポートコンテンツをPDFドキュメント内から取り出して公開しました。すると、Webセルフサービスポータル内にあるサポートページへの訪問者は、コンテンツをクリックして追加の製品購入やメンテナンスの予約など、他のアクションを完了させるようになったのです。これはブランドにとって大きな収益源です。

現在では、メンテナンス予約の15%、部品やアクセサリーの購入の10%が、製品サポートページから始まっています。この自動車メーカーは、公開されたサポートコンテンツが、マーケティングのトラフィックや目標を損なっていないだけでなく、クリックスルー率を高めることによって、マーケティングのサポートに役立っていることを発見しました。

適切なナレッジマネジメントシステムで、サポート関連のオーガニック検索トラフィックを最適化

業界をリードするナレッジマネジメントソリューションを使用すれば、情報を必要な場所に拡張できるため、Google上でお客様に対応することができます。これにより、お客様はトラブルを自己解決でき、貴社のページは検索結果ページで上位にランクされることで、より多くのオーガニック検索トラフィックを獲得することができます。

  • 信頼できる唯一の情報源を作成して、複数チャネルを通じたサポート体験を可能にするため、すべての企業内ナレッジリソースを統合
  • ユーザーの意図に基づいて最も関連性の高い情報のみを提供するスマートなナレッジベースにより、求めている情報を簡単に見つけることが可能
  • 検索エンジン、お客様、エージェントが利用しやすい
  • 企業レベルでの高い拡張性
  • お客様の利用状況に基づき、コンテンツギャップなどの改善ポイントを特定
  • 構造化コンテンツの実践により、SEOランキング向上に向けてサイトのスピードとパフォーマンスを最適化

このブログでは、検索エンジンとカスタマーセルフサービスにフォーカスしましたが、優れたナレッジマネジメントシステムは、エージェントにも良い影響を与えることも知っておく必要があります。適切な情報が手元にあることで、エージェントは迅速かつ正確なカスタマーエクスペリエンスを提供することができるようになります。さらに、最高のナレッジマネジメントシステムは、お客様が何を検索し、何を閲覧したかに関する情報をエージェントに提供し、それぞれの対話をパーソナライズすることを可能にします。

[i] Harvard Business Review: Kick-Ass Customer Service (2017)
[ii] Statcounter: Search Engine Market Share Worldwide, March 2021 – March 2022 (2022)
[iii] Internet Live Stats: Google Search Statistics (2022)
[iv] First Page Sage: Google Click-Through Rates (CTRs) by Ranking Position in 2022 (2022)