RPA活用でコールセンター業務はこう変わる!導入事例4選

慢性的な人手不足の問題や、働き方改革の推進などにより、各業界でRPAが注目を集めています。ここでは、RPAの概要や導入によるメリットといった基本的な知識から、単なる業務の自動化だけで終わらない、業務効率化につながる活用術についてご紹介します。

RPAとは

RPAとは (Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、パソコン上で行う定型化された業務を自動化するシステムのことを指します。

データ入力や決まった定型文での書類作成など、人間が判断を下さなくとも機械的にできる作業を自動化するため、人事、経理、総務など幅広い分野のバックオフィス業務で使われています。

RPAは人間の4倍以上の速さで業務を処理し、24時間休みなく稼働できるため、デジタルレイバー(仮想知的労働者)と呼ばれることもあります。

コールセンターで自動化できる業務

RPAにより、他システムへの応対履歴の転記や、顧客情報の更新、データ入力など同じルールに基づき繰り返し発生する業務を自動化することができます。

さらに上記のような業務に加え、高度なRPAを使用すれば、応対業務でエラーが発生しやすい複雑なタスクを簡素化することも可能です。RPAは単調な業務からオペレータを解放するだけでなく、オペレータが応対業務をスムーズにこなせるような自動化も行うことができます。

RPA導入によるメリット

コールセンターで、RPAを導入することにより以下のようなメリットが見込めます。

人的ミスを減らせる

コピー&ペーストによるデータの転記や、手動作業だとミスが発生しやすい作業を、RPAロボットに任せることで、ヒューマンエラーやエラーに伴う修正作業を減らすことができます。

処理時間を短縮

応対履歴の記入や、顧客情報の更新などを自動化することで、案件あたりの処理時間を短縮することが可能です。オペレータはより多くの案件に対応することができ、顧客の待ち時間を短縮することができます。結果的に、顧客満足度やオペレータの生産性向上にもつながります。

業務コストの削減につながる

時間のかかるデータ入力や繰り返し作業を減らすことで、オペレータが行う作業が減り、残業代や人件費などを抑えることができます。またシステム操作などに関連する新人教育やトレーニングなどの時間を削減することも可能です。

付加価値の高い仕事にリソースを割ける

人間でなくてもできる単調な作業をロボットに任せることで、オペレータは複雑な判断が必要な業務や顧客応対に、時間を割くことができます。仕事へのやりがいを低下させる単純作業から従業員を解放することで、離職率の低下にもつながるでしょう。

RPA活用における問題

業務の効率化やコスト削減など、RPAを導入するメリットは多くありますが、一方で注意すべき点もあります。

エラー発生時には人間が対処する必要がある

RPAを稼働させてもすぐに、業務がスムーズにいくわけではなく、エラーが発生することも多々あります。例えば「5番地」と「五番地」などの表記の違いは、人間であれば同じ番地だと判断できますが、ロボットの場合、入力情報の不一致と判断してエラーが発生することがあります。こうしたエラーが発生する度に、ルール設定の見直しなど人間による対処が必要になります。

自動化できる業務が限られている

RPAは、一定のルールに基づくシンプルな業務処理は得意ですが、実際のコールセンター業務は、人間の判断が必要な場合や、自動化できる業務と人による作業が入り組んだ複雑な業務も多くあります。

完全なルールベースに基づく業務というのは、それほど多くなく、なかなかRPAを活用しきれていないということもあるでしょう。

また、自動化する業務の洗い出し自体に時間がかかってしまったり、外部のアナリストに外注する必要があったりと、自動化を実現するまでに、多くのマニュアル作業が発生している企業も多いのではないでしょうか。

自動化による効果を実感できない

RPAを導入してみたものの、効果をいまいち実感できていないというケースもあると思います。自動化やRPAという言葉だけが先走り、とりあえず導入をしてみたというだけでは、RPAの機能を最大限に活かしきれていない可能性が高いです。

以下では、”業務の自動化”をゴールとするのではなく、自動化によりコスト削減や生産性向上といった実質的な効果を生み出すためのRPA活用法をご紹介していきます。

複雑な業務を自動化するRPA

一口にRPAといっても、RPAにはいくつか種類があります。大きく分けると、人間の介入を必要とせず、ルールに基づき自動で処理する“非アテンド型”と、要所要所で業務を自動化し、人間の業務をアシストする“アテンド型”の2種類に分けることができます。おそらく一般に多くの人が、RPAといってイメージするのが、前者の“非アテンド型”でしょう。

非アテンド型の場合、勤務時間の集計やレポート作成といったバックエンド業務の効率化においては大きく活躍できるかもしれませんが、顧客応対などフロントオフィス業務においては、自動化が難しいことがあります。

アテンド型RPAは、バーチャルエージェントとして、オペレータの応対業務に積極的に介入することができます。例えば、記入漏れなどミスが発生しやすいタスクでは、リアルタイムでガイダンス表示を行うなど、非アテンド型RPAが苦手としていた分野でも、活用が可能です。

コールセンター業務を支援するRPA

AIを活用したRPAソリューション

RPAとAIはコールセンターの自動化においてよく使われる言葉なので、混同されがちですが、両者は大きく違います。RPAは、決まったルールのみに基づいて動くのに対し、AIは自ら学習し動くことができます。決して両者は別物ではなく、むしろRPAとAIを融合することで、高度な自動化が可能となります。

例えば、AIを搭載したNICEのAutomation Finderであれば、オペレータのデスクトップ上での動きを計測し、繰り返し行われる操作や、時間がかかる作業を分析します。その後、自動化で高い効果が期待できる業務をツールが自動で抽出するため、自動化対象となる業務をスムーズに決定できるだけでなく、生産性向上につながる確実な自動化を行うことができます。

コールセンターにおけるRPA活用事例

RPAを導入し、業務効率化に成功した企業の事例をご紹介します。

エラーが発生しやすい手動作業を削減

自動車事故などの対応を行う国内大手の保険会社では、応対中にオペレータが行うタスクが複雑で、エラーが発生しやすい手動作業への依存が高いことが課題でした。

そこで業務支援を行うアテンド型RPAを導入し、エラーが発生しやすいタスクでは、ポップアップでアラートやガイダンスを表示することで、オペレータのミスを減らすことに成功。応対を迅速化させることで、センターの運用効率やサービス満足度の改善、コスト削減を見込んでいます。クレームのリスクと運営コストの両方を削減することで、ビジネスにおける他の分野への再投資も可能にしています。

平均処理時間を大幅に短縮

北欧で展開する大手通信会社では、平均処理時間の長時間化やコールバック数の増加といった課題を抱えていました。業務支援型のRPAを導入することで、必要な顧客情報やガイダンスをオペレータの操作に合わせて、リアルタイムで自動表示させるようにしました。これにより、複数のアプリケーション操作や、顧客情報を検索するといった応対中の作業を簡易化。

すでに導入していた別のRPAで、応対後のデータ入力や顧客情報の更新を自動化していましたが、新たなRPAにより自動入力ができない場合には、アラートを出して、人間のオペレータがすぐに対処できる体制を確立。オペレータ業務を支援するRPAにより、作業時間を大幅に削減し、平均処理時間を50%短縮することに成功しています。

住所変更の作業を効率化

とあるインフラ企業では、毎月1万件以上の住所変更を処理していましたが、エラー率が高く、データ入力の精度と作業効率化を図ることが課題でした。そこで、住所変更が必要なシステムを1つの画面に集約し、1つのシステムで変更を行うことで他システムにも自動で反映できるようにしました。

RPA導入後は、同じ変更を複数のシステムで繰り返す必要がなく、入力ミスも減ったことで、住所変更にかかる時間が、11分から1分へと大幅に減少。オペレータはより多くの案件に対応することができ、生産性向上につながっています。

データ入力作業の工数を削減

公共サービスを提供する行政機関では、データ入力や請求書、資料作成のほとんどを手作業で行っており、膨大な処理時間やミスの多発が問題になっていました。また、作業を手動で行うため、やり方が属人化しており、新人教育にも時間がかかっていました。

業務や課題に応じた複数のRPAを導入し、定型的なデータ処理や資料作成はすべて自動で行い、人間の対応が必要な業務では、部分的な自動化を行うなどハイブリッドな自動化を進めました。その結果、データ入力やエラーに伴う修正作業を大幅に削減することに成功しています。

NICERPA&自動化ソリューション

企業のDXを支援するNICEは、AIや最新のテクノロジーを活用したRPAソリューションを提供しています。自動化の提案から効果測定までを行う「Automation Finder」、オペレータをリアルタイムで支援するアテンド型RPA「NEVA」など、企業に真のメリットをもたらす自動化を支援しています。

クアドラント・ナレッジ・ソリューションズ社が発表したRPA市場に関するレポートでは、スマートなプロセス最適化と優れたCX実現を可能にするとして、NICEのRPAはテクノロジーリーダーに選出されています。

NICERPA&自動化ソリューションの特徴

  • AIを活用したスマートな自動化要件の発見
  • 拡張性の高いRPAソリューション
  • オペレータ業務を支援するアテンド型RPA
  • 顧客体験、オペレータの生産性を向上させる自動化

NICEは、お客様の課題やニーズに応じて、幅広いプロダクトポートフォリオの中から、最適なソリューションをご提案します。RPAや自動化に関するお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。